作業環境測定について


 私は有機溶剤を取り扱う民間企業において、30年以上に渡り自社測定での作業環境測定業務を経験してきました。
 20ヶ所ほどある作業場所を一人で測定していましたが、分からないことがあっても聞く人がいなくて苦労したことを思い出します。
 今の時代はインターネットで情報収集も簡単になってきましたが、それでも自分が苦労したような専門的な詳しい情報になると入手するのは難しいようです。
 このサイトでは、作業環境測定士として業務する上で特に有用と思われることを取り上げたいと思いますが、ここでの説明は有機溶剤作業でガスクロマトグラフ(GC)での測定関連となります。
 作業環境測定で最も厄介と思えるものとして「検量線作成」がありますが、これについて正式法とは違う便利な方法をご紹介したいと思います。

【検量線作成方法】
測定対象溶剤が数種類ある場合、通常は1種類ずつ検量線用溶液を調整することになりますが、以下の方法は同時に一つの溶液で調整する方法となります。
また、マイクロピペッターとバイアル瓶を使用することで、少量の溶剤試料で手軽に作製することが可能です。
(1)   測定条件の設定
     例えば    GCへの注入ガス量:  1ml
          検量線用溶液の注入量: 2μl

(2)   準備する器具

     ・マイクロピペッター
     ・バイアル瓶

(3)   測定対象有機溶剤の沸点、モル濃度、比重の調査

(4)   希釈溶媒の決定
     溶媒のGCピークが測定対象溶剤のピークと重ならない溶媒を選定する。

(5)   検量線用溶液の調整
    1) 各測定対象溶剤を一つのバイアル瓶にマイクロピペッターで採取
        (例:各溶剤を2mlずつ採取)
    2) 混合した溶剤液から一定量(例えば200μl)を採取し、バイアル瓶に入れる。
    3) 希釈溶媒を入れて、1次希釈液とする。
    4) 必要により2次希釈液を調整する。

 (6)   下表の通り計算して、溶剤濃度を求める。

 (7)   最終希釈液をGCに注入して、検量線データを作成する。

 手軽に検量線用溶液を調整する方法となりますが、詳しい説明をご要望の方は「お問い合わせ」ページよりご連絡ください。